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洋々LABO > インタビュー > インタビュー > 「学校の劣等生」がAO入試で慶應に飛び込んでみたら―作家・篠原かをりさんのAO入試体験記

AO入試は、志望動機や大学で学びたいことを真剣勝負で問われる入試。受験生は準備期間を通して、自分の将来やしたいこと、理想の大学生活とはどのようなものか?という問いに、にとことん向き合うことになります。
しかし、大学への入学はあくまでも「スタート」。大切なのは、入学してから充実したキャンパスライフをおくることです。

「AO入試で入った先輩たちって、本当に理想のキャンパスライフを過ごせているの?」
「志望理由書で書いたことって、本当に学生生活で実現できるの?」

そんな疑問にお答えするべく、AO入試で大学に合格した先輩を取材しました!

今回取材を受けてくださったのは、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の篠原かをりさん。2013年に同大学の環境情報学部に入学し、現在は修士1年生。大学院で研究を進めるかたわら、書籍の執筆やテレビ出演など、幅広い活動を展開しています。

高校生の頃から生物の研究者になりたかったという篠原さん。SFCでどのようなキャンパスライフをおくっているのでしょうか?

素顔は「研究者×作家×ミステリーハンター」

篠原かをり
――本日はよろしくお願いします! ずいぶんとたくさんの場で活躍されているようですが、現在は具体的にどのようなことをされているのでしょうか?

今は、SFCにある政策・メディア大学院で分子生物学研究室に所属し、ラットというドブネズミの笑い声の研究をしています。ラットの発する笑い声や怒っている声を別のラットに聞かせ、解剖して代謝の変化を調べるという研究です。

研究以外の活動としては、もともと昆虫や生きものに関する本を執筆していて、その活動を続けています。将来的には作家としての活動をメインにしたいなと考えています。それから、「世界ふしぎ発見!」というTV番組にミステリーハンターとして出演して、アマゾンの奥地のような体を張らなきゃいけない場所に行かされたり……(笑)。クイズも好きなので、クイズ番組に出たこともありましたね。本を知ってもらいたくて、テレビにはちょこちょこ出演しています。

――研究者の卵でありながら作家でもあり、ミステリーハンターでもあるんですね……(笑)。在学中からそういった活動をされていたのでしょうか?

そうですね。今は芸能事務所に所属していますが、在学中はフリーで依頼を受けていました。芸能系の仕事が続いた時期もありましたが、今は研究と執筆活動がメインです。

――もともとラットの研究がしたくてSFCに入学されたのですか?

いえ、ラットに特別興味があったわけではなく、生物の研究者になりたいと思ってSFCを志望しました。ラットを好きになったのは、研究をするネズミをいっぱい飼うようになったら、不思議と愛着が湧いて……(笑)。見た目がカワイイっていうのもあるんですけど、たとえば、嫉妬の感情を持っていたり、笑ったり、人間しか持たないと考えられていた高度な感情を持っているところにすごく魅力を感じて。そうしたこと知ってから、ネズミの研究にハマりましたね。

劣等感に苛まれた小中高時代―AO入試を選んだのは、「自分を受け入れてもらえそう」と感じたから。

篠原かをり
――ラットは大学に入ってから出会った研究テーマだったんですね。篠原さんがSFCのAO入試を受けた経緯を詳しく教えてください。

先ほど話したとおり、生物の研究者になりたいと思ったことがきっかけでした。しかし、実を言うと私、数学がすごく苦手で……。数学の試験には自信がないけれど、どうしても研究者になりたい!と思って大学を探して、見つけたのがSFCでした。

AO入試を受けたのは、自分の個性を受け容れてもらえそうだと思ったからです。私は小学校から高校までエスカレーター式の私立女子校に通っていたのですが、当時、学校の中ではあまり居場所を見つけられませんでした。成績も良くない、運動もダメ、人と話すのも得意じゃない。学校で評価されるような優秀さは何一つ持ち合わせていなかったんです。

しかし、昆虫や生き物に対する思い入れは人一倍強かったと思います。AO入試であれば、学校での素行や成績の評価が良くなくても、自分の個性を見て評価をしてもらえそうだし、入学してからも自分の好きなものややりたいことを尊重してもらえるのではないかと感じたんです。だから、AOでの受験を決めました。

――志望理由書や自由記述には、どのような内容を書きましたか?

当時は蚕の研究をしようと考えていたので、志望理由書は「日本の養蚕業を再興すべく、”カイコ・ルネサンス”を起こしたい」という内容を書きました。「なぜ日本にとって養蚕業が重要であるか」について、調べた内容を基に自分の思いが伝わるように工夫しました。

加えて、クイズ研究会を立ち上げて全国大会に出場した実績や国際生物学オリンピックで残した成果、そしてそれらの経験から得られた学びなども内容に交えました。自身の研究者としての素質や、研究への熱意をアピールしたかったので。

自由記述に書いたのは、カイコ・ルネサンスの具体的な研究構想です。日本で蚕を育てると、海外と比較して5倍ほどコストがかかってしまう。蚕を使った医療バイオや環境バイオなどを実現するべく、コストを削るためにどのような研究や生産体制作りが必要であると考えているかを伝えました。

――提出した書類の中で、特に力を入れた点を教えてください。

読んでくださる先生方が理解しやすいように、表現の細かいところにまで気を配ったことと、あとは、生物の研究がしたいという思いや昆虫への愛情がストレートに伝わるように書きました。「受かりやすそう」なことを書くのでなく、自分のやりたいことや好きなものを軸にしながら、「こうすればこんなふうに社会が良くなっていく」というスタンスを意識しましたね。

SFCが「最先端」に見えるのは、堅い研究の土壌があってこそ

――入学前、SFCに対してどのようなイメージを抱いていましたか?

すごくキラキラした華やかな人たちばかりが集まってるんじゃないかって、内心ビクビクしていました(笑)。全国屈指の高校からすごい実績を残した人ばかりがたくさん集まって、ハツラツとした陽キャラなタイプの人がいっぱいいるのかなって……。アメリカのハイスクールのチアリーダー女子とラグビー部男子みたいな……(笑)。
※参考

――でも、実際は違った、と?(笑)

そうですね(笑)。入学してみて分かったのですが、SFCに集まる人は本当に個性豊かです。芸能界やミスコンのような華やかな場所で活躍している人もいる一方、ものすごくオタク気質な人もいれば、起業志向の強い人もいます。良くも悪くも、一人ひとりの個性がものすごく強く表れる大学です。

――キャンパスの雰囲気はどのような感じですか?

最近、キャンパスの中をおつかいロボットが走っているのを見かけました(笑) やはりSFCというべきか、新しい技術や流行に敏感で、日常的にキャンパスの中で最先端技術に触れられる環境です。

一方、思ったよりもしっかりと研究に取り組んでいる人が多いように感じますね。SFCというは最新のソフトウェア系の技術が強い印象を持たれがちですが、実際はかなり堅い研究に取り組める土壌があるし、基礎研究を好む人も多くいます。バイオ系に関しては、他大学の理系研究室に負けない成果を出せているのではないでしょうか。

ただ、「陸の孤島」という呼び名の通り、不便さは少し気になるかも……。食堂はキャンパスの中心から距離がある上に15時半には閉まりますし、生協も18時まで。キャンパス自体は24時間開いていますが、ここで夜を徹して過ごすのは少し厳しいかもしれません(笑)。
篠原かをり
――学生生活を振り返ってみて、総合してSFCに入学して良かったと感じますか?

はい! 自信を持って「良かった」と言えます。SFCは、アドミッション・ポリシーとして打ち出している方針と、学問の場の内実がきちんと一致している環境です。SFCのポリシーに共感する人であれば、理想通りのキャンパスライフを過ごせるのではないでしょうか。

SFCはどうしてもイメージで語られがちですが、目新しいことをやっているようでいて、その裏でものすごく地道で堅実な努力を続けています。その土台があってこそ、価値ある新しいものを作り出せるんだと思います。

――反対に、入ってみて予想外だったことや、想定と違ったことなどはありますか?

「文理融合」というキーワードがよく出てきますが、実際のところ、文と理をきちんと融合させた研究をしている人はそんなに多くないかもしれません。特にバイオ系は「週に49時間研究をせよ」と教授に言われる環境なので、どうしても生物学にばかり時間を割いてしまいやすく……。

やはり、全く分野の違うものを融合させて一つの体系や研究を作り上げることは非常に難易度が高いと思います。しかし、成功している人が少ないというだけで、SFCは文理両方の授業を取ろうと思えば取れる環境。文理融合に積極的にチャレンジをしたい!という人にとっては、チャレンジのしがいがあると思います。

何でもアリだからこそ、自分が持つ全てをひとつのスタイルにしたい

篠原かをり
――篠原さんはこの先、どのような方向性でご自身の研究や活動を進めていきたいと考えていますか?

高校時代からの「研究者として活躍したい」という思いは残りつつ、研究一本で戦っていくのは厳しいなと感じています。なので、いっそのこと、自分にしかできない様々な経験を研究や執筆活動に活かしてみたいなと。

例えば、海外のロケで秘境に行けるチャンスを研究にも活かせたら、もっと面白い研究ができるのではないかと思います。実際、この前はアマゾンで採取してきた熱帯雨林の音をラットに聞かせる実験をしました。

色々な経験をさせてもらえる環境にいるからこそ、経験をもとに、アカデミアにこもっているだけではできない研究活動をしていきたいと思います。文章を書くことやミステリーハンターとして活動すること、そして研究することも、すべてを融合させて「篠原かをり」という一つの形を作りたいですね。

――研究室の教授は、篠原さんのスタンスをどのように評価をしていますか?

担当教官には受け容れてもらえていると感じます。ジャングルに2週間行ってその間にキャンパスでの研究が進まなかったとしても、それを糧に何か面白いことができるなら良いんじゃない?というような感じで、あたたかく見守ってもらっていますね。

――それは素晴らしい環境ですね。

はい。それに、研究室の先輩方は、どなたも非常に研究熱心で、かつユニークな研究をしている方が多いので、本当に尊敬しています。女性で活躍する研究者も多く、周りに触発されて自分の研究を進められる。そうした方々から刺激を受けたからこそ、「アカデミアでガチガチの研究者になるだけがすべてではない」という考えも持てるようになったのだと思います。

――では最後に、AO入試の受験を考えている受験生たちにメッセージをお願いします。

AO入試は、何か華やかな実績や経歴、あるいは高い偏差値や学歴がないと受けられないというイメージを持たれがちですが、実際はそんな事はありません。ものすごく何かが好きだとか、ある状況を変えたいと心の底から思っているとか、そういう強い思いや誠実さが重要だと私は思います。そして、強い思いを持っている人であれば、入学してからのキャンパスライフを必ず有意義に過ごせるはずです。

SFCのAO入試で「何か実績や評価がないと受からない」なんてことはありえません。純粋な思いを、なるべく相手に分かってもらえる形でぶつけるだけです。頑張ってください!

洋々の小論文トレーナー&メンター。批評からシャンプーの裏側まで、文字の書いてあるものは何でも好きです。

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