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洋々LABO > 学科試験 > 文章トレーニング > 第1回 「何かがある」から言葉を使う

「準備運動」と「手を動かす」

「さて、文章を書いてみよう」
そう思ってペンを執ったのに(あるいはパソコンを開いたのに)、はて、何をどう書いたら良いのやら……?そう感じたことがある人は多いのではないでしょうか。

文章を書くためには、たくさんの準備運動が必要です。むしろ書くこととは、8割の「準備運動」と、2割の「手を動かして文字にする」でできていると言っても過言ではないかもしれません。
この文章トレーニングでは、その両方をひとつずつ一緒に学んでいきます。

なぜ、人は言葉を使うのか?

文章の書き方を考える前に、すこし抽象的なことを考えてみます。人はなぜ、「話す」や「書く」といった方法で言葉を使うのでしょうか。

言葉は「伝える」と非常に深い関わりがあります。伝えるとは、ある人が自分以外の人に対して、自分の中にある「自分にしかわからないこと」を取り出して、差し出すこと。この「取り出す」と「差し出す」いう過程で必要になるのが「言葉」です。誰にも見えない、聞こえない、触れられないものに言葉というかたちを与えます。そしてさらに、そのかたちを誰かに差し出すとき、そこには文法と呼ばれる言葉のルールが必要になります。

自分にしかわからないことを他人もわかるようにすること―これが「伝える」の本質であり、「人が言葉を使う理由」に対する答えのひとつです。もちろんこの答え以外にもたくさんの答えがありますが、ひとまずここではこれをもとに話を進めます。

「何かがある……?」と感じたとき、初めて言葉が生まれる

では、言葉はどういうときに生まれるのでしょうか。
これもさまざまな答えがあると思いますが、「(心のなかに)何かがある」と感じたとき、人はそれに言葉を用います。それはときとして「ある」とはっきり断言できるほど強い感触でなかったとしても、「でも、何かがある……」と感じると、自然とその「何か」を表す言葉を探すようにできているのです。

たとえば、胸のうちで「かなしい」という感情を抱いているとき、「この気持ちは、かなしいと悔しいが混ざっている気がする。いや、『さみしい』も混ざっているかもしれない…?でも、『怒っている』も含まれている気がする……」と自問自答をした経験は誰でもあるはずです。このように、曖昧でモヤモヤした「何か」に「言葉」というかたちを与えることで、初めてそれについて考えることができる。「何かがある」と感じたところに言葉が生まれるのです。

洋々の小論文トレーナー兼メンター。編集と執筆もしています。かぼちゃと春と動物が好き。