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洋々LABO > 学科試験 > 文章トレーニング > 第2回 「見る」と「書く」をつなげてみよう

まずは「観察」から始めてみる

それではまず、かたちになっていない心の中身を言葉にするよりも、もう少し簡単なところから準備運動を始めましょう。まずは「外側にあるもの」を観察するトレーニングです。

あなたは、普段からどのくらい意識的に身のまわりのものを見たり聞いたりしているでしょうか。人間の感覚とはおもしろいもので、自分にとって重要だと無意識のうちに判断したものだけをキャッチしようとする癖を持っています。そのため、「見ている」「聞いている」と普段から思っているものでも、よくよく確かめてみると、案外見落としていたものが多いことに気付かされるはず。

ためしに実験をしてみましょう。いまから1分間、身の回りにある「緑色」に注意を払ってみてください。たとえば電車に乗っているのであれば、電車で向かいに座っている人のシャツの色、窓から見える木々、広告の文字……きっとすぐにいろいろな「緑色」が見つかるはずです。わたしたちは普段から緑色を意識しているわけではないので、ふつうに過ごしていれば無意識のうちにその色を見落としています。しかし、すこし注意を向けるだけでもたくさんの緑色に出会うはずです。遊び感覚で様々なテーマを見つけて、そのテーマに沿ったものを3分間でなるべくたくさん見つけてみましょう。

■ 文章を書く準備運動 ■

あるテーマ(たとえば「液体」「丸いかたち」など)を決めて、身の回りを見回す。そしてそのテーマに沿ったものを、1分間でなるべくたくさん見つける。

観察したものを10の言葉で表してみる

次の準備運動は、先ほどの「観察」で見つけたものをひとつひとつノートに書き出して、それぞれを「別の角度からの10の言葉で表す」というトレーニング。このトレーニングをすることで、「見ている」という思い込みから抜け出し、「見る力」を育てることができます。

たとえば、「向かいの人のシャツ」が緑色だったとしましょう。そのポロシャツを10の言葉で表してみてください。

・薄手の素材
・さらさら
・胸にワンポイントの刺繍
・襟が大きい
・ボタンは8つ

まずは観察、そして見つけたものを別の言葉で書き表す。これを繰り返すことで、これまで「見ている」と思い込んでいたものが、より鮮明に見えるようになります。自分は何を見ているのか、それをどう見ているのか。さまざまな角度から「見える」ものを言葉にしてみましょう。
慣れてきたら、15個、20個と、表現する言葉を増やしてみるのも効果的。語彙を増やすだけでなく、観察眼を育てることができます。

■ 文章を書く準備運動 ■

観察で発見したものを10の言葉で表してみる。慣れたら、表す語彙の数を増やす。

「思い込み」のあやうさ

なぜ「見ている」という思い込みから脱する必要があるのか。それは、あなたが心のなかで何かを感じたとき、それを「わかっている」気になってよく考えずに言葉を当てはめてしまうことが、とてももったいないことだからです。

たとえば小論文や志望理由書を書いていると、「自分の考えていることは、ほんとうにこの言葉で表せているのか?」と自問自答をする瞬間が何度も訪れます。自分の主張は、はたして本当にこの言葉で相手に伝えられるのか。本当はこの言葉で表していることよりももっと奥深くに、「言いたいこと」の根っこがあるのではないか。そうやって土を掘るように「何か」を探して言葉というかたちを与えていくことが「書く」という行為です。深くまで掘れば掘るほど、「何か」に近づくことができます。「観察を書く」ということは、土掘りの大切な準備運動なのです。

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洋々の小論文トレーナー兼メンター。編集と執筆もしています。かぼちゃと春と動物が好き。