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洋々LABO > 大学を知る > 慶應SFC > 慶應SFC授業紹介vol.2「国際社会のデータサイエンス」ー中室牧子教授

文理融合、言語、ビジネス、デザイン、プログラミング……。さまざまな分野を幅広く学ぶことができる慶應SFCですが、一体どのような授業がおこなわれているのでしょうか?

SFCは必修が少ないため、個々人の興味にしたがってさまざまな授業を履修することが可能です。しかし分野の多様性ゆえに、実際にどのような授業が展開されているのかはなかなかイメージしづらいところ。そこでこの連載では、現役のSFC生が履修した授業の感想や情報を生の声としてお届けします。

今回は中室牧子教授の「国際社会のデータサイエンス」をご紹介します。

授業概要

経済学の基礎をベースに

  • 「診断を受けると長生きできるのか?」
  • 「女性取締役を増やすと企業の業績は高くなるか?」

といった命題に対し、「AとBには因果関係があるのか?」を検証する方法を学びます。実際のデータをもとに検証を数多くこなし、データのの本質を見抜く力を養うことが目的です。


初期の授業ではまず、応用ミクロ計量経済学の基礎に触れ、因果関係を明らかにするために必須となる「因果推論」という手法を学びます。その後、実際に自分で探したテーマに計量経済学の手法を用いてデータを観測し、レポートを提出。一見難しそうかもしれませんが、テーマが身近であり、かつ数理的な素養はそこまで求められないため、どのような分野や知識レベルの学生が受けても面白いと感じられる授業です。

こんな人におすすめ

  • 経済学に興味のある人
  • 「エビデンス」という言葉に魅かれる人
  • 統計情報の本質を見抜けるようになりたい人
  • 「因果関係」「相関関係」の扱い方を学びたい人

特徴

教授の話す内容の質が高く、淡々と授業が進められていきます。予習は必要とされていませんが、一回の授業の密度が非常に濃いため、一度欠席したら復習には時間がかかってしまうかもしれません。

また、中室教授は教育経済学が専門であるため、授業内には効率よく学ぶための仕組みが随所に散りばめられています。例えば、毎回授業の始めに理解度の確認テストがあることや、クラス内でのディスカッションの時間を積極的に設けるなど、主体的に授業に取り組めば十分に力がつく仕掛けが数多く見られます。

難しい質問はされませんが、「あなたはどう思いますか?」と学生に質問をする機会も多いため、授業への集中が求められます。それでも授業の参加率が高いのは、それだけこの授業が、多くの学生にとって「面白い」と感じられるからです。

授業トピック!

たとえば、以下のような命題について、これらは「正しい」と言えるでしょうか?

  • 健康診断を受けると長生きできる
  • 女性取締役を増やすと企業の業績は高くなる
  • テレビを見ると子供の学力は下がる
  • 偏差値の高い大学へ行くと収入は上がる

実は、答えは全て「NO」。なぜなら、これら4つは因果関係では繋がっていないからです。たとえば1つ目の命題は、診断を受けたことと長生きに直接の繋がりはありません。健康診断を受けたことで長生きできたのではなく、もともと健康に気を遣っている人は健康診断に行く傾向にあるため、結果として「健康診断を受けた人は長生きをしている」というデータがとれたということです。

経済学は、人間行動を数理的な分析手法を用いて明らかにする学問領域と言われています。

この授業で扱う経済学は、主に実証実験を通して、仮説を元に検証することを目的とします。そのため細かい数値の計算や経済学のモデル式を立てるといった数学的な内容は最小限に抑えられています。数学が苦手な人でも親しみやすい授業と言えるでしょう。

 

教授について

中室牧子 総合政策学部准教授

1998年慶應義塾大学卒業。米ニューヨーク市のコロンビア大学で学ぶ(MPA, Ph.D.)。専門は、経済学の理論や手法を用いて教育を分析する「教育経済学」。日本銀行や世界銀行での実務経験がある。2013年から現職。

引用元:https://vu.sfc.keio.ac.jp/faculty_profile/cgi/f_profile.cgi?id=adc1d5b0312a9907

著書

「『学力』の経済学」(ディスカヴァー・トウェンティワン)

発行部数累計30万部のベストセラー。
「『原因と結果』の経済学」

因果推論についてわかりやすく紹介した書籍。週刊ダイヤモンドの「経済学者・経営学者・エコノミスト111人が選んだ2017年ベスト経済書」で第1位を受賞しています。

教授の専門ー教育経済学について

教育経済学とは教育政策に対する費用対効果を経済学的に分析する分野であり、まだ日本にほとんど浸透していません。中室教授は日本の明確な根拠が薄い日本の教育政策に疑問をもち、「エビデンスベースド」をキーワードに熱心に研究しています。

慶應SFC生の感想

実証を数多く取り扱う本授業の内容は、実生活にも活かすことができると思います。用いられるテーマは、どれも馴染み深いものばかり。因果関係の正しさを見極める力を育てたことで、世の中の減少の本質を捉える能力が高められたと感じました。

経済学とは何かを深く理解することができた授業でした。

慶應義塾大学総合政策学部2年。経営学を中心に学習中。

洋々のメンター。ベンチャー企業2社・大手企業にて長期インターンの経験がある。