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洋々LABO > 学科試験 > 小論文 > 【解説】慶應義塾大学文学部 自主応募制推薦入試の傾向と対策

本記事では、慶應義塾大学文学部の自主応募制推薦入試(以下、自主応募推薦)で課される総合考査Ⅰ・Ⅱの傾向と対策をお伝えします。

自主応募制推薦入試の全体像

自主応募推薦では、書類と総合考査を併せて合否を判定します。書類審査の合格者だけが総合考査へと進む二段階選抜ではなく、書類を提出した受験生は全員総合考査の受験が可能です。

評価対象となる提出書類は下記の通りです。なお、評価書、自己推薦書の質問に字数制限はありませんが、回答の枠の関係上、回答可能な目安文字数を提示しています。

  • 調査書:高校在学時の全期間の成績が記された書類。
  • 評価書:担任教員もしくは指導教員による、受験生を評価、推薦するA4サイズ1ページの書類。受験生の評価に関する質問が3つ記載されており、200字から300字程度の回答が可能です。
  • 自己推薦書:高校時代に力を入れたことと、文学部の志望動機を記すA4サイズ1ページの書類。各質問は400字程度の回答が可能です。→ 志望動機の書き方をより詳しく解説した記事はこちら

総合考査Ⅰ・Ⅱは、小論文の試験です。考査ⅠはA4で10ページ以上の課題文を読んだ上で設問に回答する形式で、考査Ⅱは設問文を基に自身の考えを述べる形式で出題されます。近年考査Ⅱについては、短い文章資料を基にした設問というパターンが増えています。

総合考査Ⅰの傾向と対策

制限時間
120分

構成
課題文に対して大問4つ。前半2問はそれぞれ現代文読解型、小論文型の問題、後半2問は外国語作文。

特徴
考査Ⅰの課題文は非常に長く、A4に2段組で10ページ以上に及びます。例年、問1は現代文型読解問題、問2は小論文型問題でしたが、近年は問1と問2ともに現代文型の問題が出題されています。いずれのタイプの設問にせよ、回答の前提として課題文の内容を正確に把握する読解力が必須です。

また、問1と問2は、文学部の一般入試と問題の形式が非常に近いのが特徴。一般入試をメインに見据えている受験生が一般入試の練習試合として自主応募推薦にチャレンジするケースも少なくありません。

対策
まずは、各設問で「何を要求されているか」を素早く正確に見極める力が必要です。全体の要約と特定の部分の説明のどちらが必要なのか。課題文の内容と自身の考え、どちらの整理を求められているのか。設問の要求を確定できれば、「どう答えるか」も必然的に決まります。初めは「何について」「どう答えるか」の2つを意識して過去問に臨むと良いでしょう。

問1(現代文型読解問題)

読解問題を解くには、2つの読解スキルを磨く必要があります。ひとつは文章全体の主題・主旨・主旨の根拠といった大枠を掴む読解スキル。もうひとつは、特定の範囲の文と文、言葉と言葉の論理的な関係を緻密に捉える読解スキルです。前者の読解で設問の回答に必要なパラグラフを割り出し、後者の読解で回答を導きます。また、筆者の用いるキーワードの説明や、特定の言葉と回答の関連付けなど、回答の条件が付加されている場合は、必ずその条件を守りましょう。

問2(例年小論文型問題が出題されていたが、近年は読解問題の出題も増加傾向)

小論文型の問題では、課題文を踏まえて、設問条件に対する自身の意見とその根拠を示すことが求められます。

制限字数が300字と短いため、回答内に無駄な要素は入れられません。長い論の展開も難しいため、意見と根拠を必ず入れた上で、回答に必要な要素とその分量に優先順をつけるように意識しましょう。

例えば、本文中の材料や意見と根拠、具体的な事例、予想される反論に対する再反論など、回答を構成する要素は複数あります。過去問での練習を通して各要素の比重や有無の調整に慣れ、自分なりの書き方を身につけると、本番でも焦らずに対応できるはずです。

問3、問4(外国語作文問題)

直訳しづらい文章が課題文内から指定され出題されるため、必要に応じて指定部分をわかりやすい日本語に変換すると訳しやすくなります。変換した日本語をシンプルな英語で正確に書くことができれば、あえて難しい単語を使わずとも問題ありません。過去、洋々からは標準的な英語レベルの合格者が多数生まれています。

→ 慶應文学部自主応募推薦の合格者の声はこちら

総合考査Ⅱの対策と傾向

制限時間
60分

構成
400字の意見提示型小論文。

特徴
2012年以前は、数行の設問に対して回答する形式でしたが、2013年以降は、5〜10行程度の課題文を読んだ上で、その文章のテーマやキーワードに関して論述する形式が増えています。

対策
考査Ⅱで重要になるのは、哲学に関する知識の量ではなく、哲学的な視点で物事を捉え、考えを深める力です。テーマとなっている言葉の意味を問い直し、どのような角度から思考を深めたかが読み手に伝わるように意識して書きましょう。哲学的な思考に慣れていない人は、まずは辞書的な意味を手がかりに自身の定義を展開し、具体例を付与しながら考えを深めるという手法で基礎固めをすると良いでしょう。

また、近年頻出の課題文付与型問題では、設問となっているテーマやキーワードの意味が文章内で説明されています。このタイプの問題が出題されたら、テーマやキーワードと関連する文章内の別のキーワードに注目しましょう。それぞれを対比させたり、それぞれの言葉の関係性について考察したりなど、「どのような深め方をするか」で差別化を図ることができます。

また、慶應文学部の総合考査は時事問題や背景知識をいかに多く知っているかが合否を分けると思われがちですが、洋々では、知識量は合否に直接影響しないと考えています。まだ哲学を詳しく学んでいない受験生たちの知識量よりも、哲学的に物事を考える姿勢のほうが、大学入学後の成長の可能性を測る上でより本質的な判断基準となるからです。そのため、後者を身につけることを意識して受験勉強に臨みましょう。

総合考査対策におすすめの書籍

哲学的に物事を捉えて考える姿勢を身につけるために、何をすれば良いのか。ひとつの有効な手段は、そのような姿勢で物事を問うている本に多く触れ、物事の見方や考え方を学び、日常的に実践することです。

注意すべきは「哲学の知識」が多く載っている本を選ぶのではなく、「哲学に物事をどう捉えるかを学べる本や、哲学的に考えをどう深めるかについて考察された本」を選ぶこと。知識ではなく、姿勢を吸収することを意識しましょう。

このような観点から洋々が推薦するのは、下記の2冊の書籍です。

池田晶子著『14歳からの哲学』(トランスビュー、2003年)

一冊目に紹介するのは『14歳からの哲学』。タイトルの通り、中学生程度の年齢の読者を想定した本であり、非常に読みやすい文体で書かれています。しかし、取り扱われている内容はどれも読み応え抜群です。

この本の最も大きな魅力は、多くの人々にとってあまりにも当たり前であるとされている概念について、著者の視点をベースに、一からそれらを考え直すプロセスを体験できるところです。「考える」に関する考察から始まり、「正しく考えるとはどういうことか」を示した上で、「言葉」や「自分」など、抽象度が高く身近だからこそ、深掘りされることの少ない概念について、一つひとつ考察を深めます。

池田さんは、言葉にまとわりつく「一般的な意味」の手垢を丹念に洗い落とし、「とは何か」をまっすぐ問い続ける稀有な哲学者です。「どう見るか」「どう考えるか」に悩んだとき、彼女の著書は大きなヒントになりえるでしょう。

この本を読んで池田さんの著書に興味を持たれた方には、愛犬家として有名であった同氏が各雑誌で犬について考察したエッセイアンソロジー『犬の力を知っていますか?(毎日新聞出版、2015年)』もおすすめです。「犬と人間の関係性」という親しみやすくユニークな角度から、彼女の哲学的な視座と視点を体感することができます。


Erich Fromm原著、鈴木晶訳『愛するということ 新訳版』(紀伊國屋書店、1991年)

『14歳からの哲学』が哲学的な視点で物事を捉える姿勢を学ぶ本であるとすれば、『愛するということ』は、「一つの抽象的なテーマを具体的に深める姿勢」を学べる本です。

この書籍も、多くの人々にとって非常に身近ながら抽象的なテーマである「愛」を取り扱います。著者であるフロムは、多くの人々が持つ「愛」に関する認識の誤りを指摘した上で、自身の考える「愛」について論を展開します。

この本の特徴は、イメージしやすい具体例を交えながら「なぜその考えに至ったのか」が多角的かつ丁寧に述べられている点です。フロムの思考の軌跡を取りこぼさずに辿ることを意識しながら読むことで、自然と「哲学的に考えを深めるとはどう考えることか」を体験することができます。

また、「愛」という誰にとっても身近かつ重要なテーマを取り扱い、かつ複雑な内容も常に平易な言葉で語られているため、繰り返し読むことが苦になりません。哲学的な姿勢は一朝一夕で身につくものではないため、そのような観点から見ても、この本を総合考査の対策として常に手元に置き繰り返し読み返すのは非常に有意義であると言えるでしょう。

おわりに

洋々では、自主応募推薦に特化した対策が可能です。講師陣の中には、長年自主応募推薦と一般入試の採点に携わった慶應の元文学部教授も在籍しており、過去に多数の合格者を出しています。受験をお考えの方は、ぜひ一度無料の個別相談にお越しください。

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